はじめに
”百聞は一見に如かず”と言うことで、ロボットを実際に動かして、Li-Feバッテリーのフラットな放電特性に起因する安定した制御とパワーの持続性をご覧いただきたいと思います。
関西ブロック夏のオープン大会
年齢制限のあるロボカップジュニアの大会において、大人,OB/OG(以下”おやじ参加”と呼称)が参加できる数少ない大会です。
”技術交流”が目的なので、おやじ参加する場合はプレゼンテーション(ロボットの解体ショーやロボット自慢でOK!)は必須です。
今回は、プレゼンと解体ショーを行いました。
会場に足を運んだ方々の努力が薄まる気がするので ”プレゼン&解体ショー” には触れませんが、カメラ(スマホ?)を構えていた方は沢山おられたので興味のある方は人脈(SNSとか)を駆使して情報共有(OYA-Gロボットの画像公開はOKですが人物が写っていない物でお願いします!)して下さい。
私も見たいので(試合の動画を持ち合わせていない)、YouTubeとかにUpして頂けると有難いです。
おやじ参加する理由
とにかくRCJサッカーの最適解と違うロボットを見て頂いて、イメージを広げて欲しいと思っています。
ですのでOYA-Gロボットのコンセプトは、ざっくり以下の様になります。
〇 低価格の部品かつ使用数の最小化
〇 現在主流の戦術とは異なるアプローチ
〇 主流となっている構成と異なる設計
〇 ロボカッパーの常識に潜むミスリードの解説と対応方法の提示
(これらに関する過去記事の抜粋 ↓ )
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2022/11/26/231205
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/11/07/192327
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/10/02/190154
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/08/24/190611
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/08/21/144528
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/07/22/214222
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/04/26/011251
https://blackbox-crusher.hatenablog.com/entry/2021/04/13/193308
最近、気が付いたのですがロボカッパーの興味や技術情報源としての認識は
"ジャパンオープン優勝チームなどの強豪チーム " > "エンジニア"
の様です。
要するに”勝てないロボットには興味がない”と言うことです。
冷静に考えると、”どこの馬の骨か分からないエンジニア” より "実績のあるロボカッパー" の方が信用に足ると思うのは当然です。
と言うことで、これまで大人げないと思っていたのですが、試合に勝つ事も重点に置きたいと思います。
OYA-G2023サッカーライトウエイト関西夏のオープン大会エディション
今回は、勝てる戦術とロマン(遊び心)をコンセプトに追加しました。
ロマンの部分は ”まわるターレットから、キ〇コに熱い視線が突き刺さる” と言うあれです。
Pixy2.1のレンズをターレットを用いて"可視光カット赤外光透過レンズ"・"赤外光カット可視光透過レンズ"を切替える事でボール補足とゴール検出を行う"光学系"を軸にした構成です。
2つのレンズを切替えればOKなのですが、実際には使用しない広角レンズを追加して3個のレンズをターレットに配置しています。
最初はスコープ〇ッグのターレットを模したかったのですが、光軸が中央に無いのは自動制御を行う際に面倒なので、ダイビング〇ートル風にしました。
”大人の財力+プロの技術” かつ "同じレギュレーション" では、本当に大人げないので、自主ハンデを設けています。
〇 2対1(1台のみで試合をします)
〇 駆動用モーター2個(日本リーグレギュレーション)
〇 駆動用モーターはリーズナブルなマブチモーター
〇 最小個数のセンサ構成
Pixy2.1×1
ホワイトラインセンサ×1
マイクロスイッチ×1
超音波センサ×1(ソフトが間に合わず試合では不使用)
〇 電圧が低いので不人気のLi-Fe6.6V使用(実は全くハンデになっていない)
フルパワーで相手ロボットに当たったら壊してしまいそうでしたので試合では、30%にパワー制限しました。(但しローター反転シュート時の0.2秒間のみフルパワー前進)
優勝機体なので盛り上がったのか?解体ショーは質問が絶えず、司会進行に時間切れを告げられました。
モジュール構造にしている部分は、リクエストにお答えして概ね分解しました。
ロボットを用いた実証実験
ゴールにゴム紐を張って、”ボール補足→ゴール検出→ローター反転シュート→ボール補足”のプログラムにて休みなく動作させます。
Li-Feは放電特性がフラットで、低電圧保護回路を搭載しているので電圧監視の必要がないのですが、動画に電圧情報を付加する目的で電圧計を追加しています。
ところがGIFでは判別不能ですので、実況を付け加えます。
スタート時(満充電時)6.7V、1分程で6.6V、5分程で6.5Vその後10分経過しても6.5Vを指示します。
10分間に 53ゴール/55シュート していますが、試合では得点毎に仕切りなおすので、実際の試合での消費電力は連続稼働の70%程度だと思います。
低電圧保護回路が作動して機能停止したのは19分25秒でしたので、試合では10分ハーフ前半・後半をバッテリー1本で戦える計算になります。
動画はタイムコードを付加して、スタート直後と10分経過後かつロボットの動きが分かり易いシーン(13分後)を繋げて比較できるようにしてあります。
近藤科学 ROBOパワーセル F2-850タイプ (Li-fe)の放電特性が公開されていない為、下図を参考にします。
低電圧保護回路が遮断したバッテリーを充電した時の充電容量は800mAh程度ですので
ロボットの平均消費電流は、800mAh÷20分=2400mA
放電レートは2400mA÷850mAh≒ 2.8C
1Cと5Cの間位のイメージになります。
スタート直近に定格電圧より若干高い電位の区間がありますが、そこを過ぎると殆どフラットです。
実証実験の結果と相関していると思います。
比例制御のゲインは、調整した時のモーターパワーに対しての最適値です。
80%のモーターパワーで調整すれば、100%時には振動します。
60%ではゲイン不足に陥ります。
つまり、Li-Poバッテリーで10分ハーフ毎バッテリー交換が必要なロボットがベストパフォーマンスを出せる時間は限られています。
Ni-MHバッテリー使用ロボットがジャパンオープンで優勝するのを意外だと思った方多いようですが、Li-Feバッテリー同様にフラットな放電特性を持つNi-MHバッテリー使用ロボットが終始安定してパフォーマンスを出せた結果と考えれば必然と言えます。