ジャパンオープン2022は予定通りサイズが180mmになります。
2021ルールに記載されていたので対応済みですね。
作り変えが必要な方は材料選択の参考にして下さい。
ロボカップジュニアの大会で見かける材料は木材(MDF)、樹脂(板を加工・3Dプリンタ)、アルミ、CFRPと言うところでしょうか。
製作の早さ・安さ・強度・精度の4拍子そろった”アクリル(キャスト)樹脂をレーザー加工”する事をお勧めしています。
(過去記事のこちら↓も御参照下さい)
学校の部活で3D CADを導入するには(ロボカップジュニアに取り組んで居られる指導者の方向け) - 隠居エンジニアのものづくり
”アクリルで作ったら試合中に割れた”と言う話もありますが、ロボットを見ると応力集中する形状(肉抜き、細長い部分、穴の連結)になっています。
要するに材料の問題では無く、設計の問題ですね。
材料の実質的強度
重量制限がある競技ですので、同一質量での強度を比較するのが論理的です。
Fusion360のローカルシミュレーションを用いて強度比較をしてみましょう!
OYA-G2022モデルのシャーシ(厚み2mmのアクリル)を基準にして、材料違いのシミュレーション結果を比較します。
ロボットの部品が割れるシーンは、ロボット同士の衝突や走行中にゴールに衝突するなど衝撃が加わる時です。
静荷重シミュレーションで衝撃加重を想定する為に、”荷重”をロボットの質量2.2㎏の10倍程度220Nとします。
アクリル(57g)、アルミ(121g)、CFRP(69g)を同一質量になる様に肉抜きを行なって強度比較します。
(MDFはシミュレーションの結果、安全率1以下(レッドゾーン)だったので比較対象から除きます。)
Fusion360では安全率3以上がグリーンゾーン、6以上がブルーゾーンになります。
アルミの方が強度が低いのは意外でしょうか?
アルミはアクリルと同じ重量にするには、直径178mmのシャーシに直径130mmの肉抜きが必要です。
実際には部品をネジ止めする位置を確保する為に複雑な形状に設計する必要があり、上図よりも細い部分が生じます。
複雑な形状により、切削線長が伸びるのでCNCでのアルミ切削は膨大な切削時間を要します。
アクリル板の場合、20W CO2レーザー:2分49秒、3.6Wダイオードレーザー:20分で加工できます。
アクリルよりCFRPが重いのも意外でしょうか?
強度が2倍程度あるので同じ強度なら半分の重量にできるのがCFRPの強みと言えます。
CFRPは製造時に反りや曲がりが生じないように表裏一層がクロス材で中間層は単一方向材で製造するのが一般的ですので、細い部分を作ると極端な強度低下を生じる事があります。
CFRP加工時に発生する粉塵は人体に重大な害を及ぼす可能性が高いので絶対に加工しないでください。
粉塵の本当の怖さは”即効性がない”事です。
何年も経った頃に発症するので、”切削しているけど何ともないよ” は安全の証明にはなりません。
個人でもCFRP加工をCADデータにてオーダーできるサービスがありますので、どうしてもCFRPでロボットを作りたい方は、CFRP加工専門業者に外注しましょう。
アクリル板を用いた設計
丈夫なエンジニアリングプラスチックとして有名なポリカーボーネートよりもアクリルの方が曲げ強さ、ロックウェル硬度は高く充分な強度があります。
ただし、アイゾット衝撃強さが小さいので応力集中箇所がガラスの様に割れる性質があります。
つまり設計段階で応力集中しない配慮をすれば、アルミ製ロボットと同等強度に仕上げることができます。
〇肉抜きを行なわない(何もしなくても、肉抜きしたアルミと同じぐらい軽い)
〇角を作らない。(角はフィレットで丸める)
〇細長い箇所は作らない。
アクリル板を安く購入する方法
アクリル板の調達方法を紹介します。
”アクリルショップはざいや”さんの”2カット無料”を利用する方法です。
トップページの左側にある アクリル板 白黒 → アクリル板 黒板(キャスト)と移動して
アクリル板黒(キャスト)板厚2mm 450×600を選択して、備考欄に
”十字カット 約225 × 約300 = 4枚"
と記載するとA4サイズ位のアクリル板1枚330円で購入できます。
カットする際に刃幅分は損失しますので”約”と明記して寸法が多少異なっても良い旨を伝えるのが重要です。
私は1万円以上で送料無料キャンペーン中でしたので
アクリル板黒(キャスト)板厚2mm 450×600 数量:8
”十字カット 約225 × 約300 = 32枚"
にて注文しました。
ご参考まで。