ドリブラーによるシュートの種類
ドリブラーを用いたシュートには一般名称がないので個人的にはシュートを行うのに”何を利用するか”によって命名しています。
・遠心力シュート(いわゆるマカオシュート)
・ローター反転シュート
・バックスピンシュート
慣性モーメントが大きくてカーペットとの摩擦力が小さいパルスボールと慣性モーメントが小さくてカーペットとの摩擦力が大きいオレンジボールではドリブラーの必要要件が異なります。
同様にシュートの種類毎に難易度が変わりますので、ここら辺を解説したいと思います。
遠心力シュート
ロボットを超信地旋回させてボールに遠心力を発生させて適切なタイミング(シュートコースに乗ったら)でドリブラーの保持を解きます。
シュート直後もボールが回転しているのでシュートの軌跡は曲線になります。
〇シュート軌跡の曲線はボールの回転数、ボールとカーペットの摩擦係数依存なのでコート毎(部分的補修とかも影響)に異なる可能性がある、距離によって到達点が異なるの点にも注意
〇超信地旋回速度を上げればシュート速度が上がるが、タイミング(シュートコースの精度とのトレードオフ)がシビアになる
〇バルスボール、オレンジボールの難易度差は基本的にない
ローター反転シュート
ボールにバックスピンを与えているローターを”ボールを押し出す方向に反転する”事でシュートします。
単純に反転しただけでは、反転過程でボールがロボットから離れてしまうので、反転したロータでボールを押し出す力を利用できません。
このローターの回転方向切り替え期間にロボットを急発進させる事で生じるボールの慣性を利用してボール保持を継続させます。
〇駆動系とドリブラーローターの細かいタイミング制御が必要
〇ドリブラーローターは低速回転でホールドして高速回転で反転すればシュート速度が上がる
〇シュートする事そのものにはバルスボール、オレンジボールの難易度差はないのですが摩擦力が小さいパルスボールを低速回転でホールドするには一工夫必要となります
バックスピンシュート
ザックリ言うとボールを置き去りにするシュートです。
置かれたボールは速度ゼロの慣性とバックスピンをかけられていた直前の慣性モーメントを持っています。
直ぐにカーペットとの摩擦力と慣性モーメントにより、ボールは転がり始め、徐々に加速します。
ゴールまで加速を続けるシュートと言う意味では特殊なシュートと言えます。
シャッタースピード 1/960 ハイスピード撮影(シュート後の制御を詰める為に必要でした)
〇シュート後にボールの軌道を妨げないロボットの駆動制御が必要
〇ドリブラーローターの回転速度にシュート速度が相関しますが、ボールを相手ロボットと挟むなどボールの回転が停止した場合でもボールを傷つけない範囲を守ってください。
〇ボールの摩擦力が小さく、加速までに若干のタイムラグがあるバルスボールは比較的容易ですが、オレンジボールは至難の業(動画の様にHFRを用いて駆動部制御シーケンス検討するだけに1日費やしました)です。
個人的にはRCJサッカールールブックのドリブラーの記載を見た時から、”ドリブラー”がゲームの主導権を握るキーデバイスだと思っています。
シュート速度は、いずれのシュート方式もキッカーの速度(パワー規制下での)を容易に超えられますし、ブラインドやフェイントなどの効果を伴います。
シチュエーションに合わせてドリブラーシュート種類を打ち分ける戦術重視型のロボットが出現したら試合観戦も楽しい魅力的なものになるのではと思っています。