履帯型ロボットの製作
タミヤのトラック&ホイールセットは入手性が良いのですが、履帯が軟質樹脂製の為にグリップ不足で坂道を上る事ができませんでした。
タミヤ 楽しい工作シリーズ トラック&ホイールセット | タミヤ (tamiya.com)
履帯に熱可塑性エラストマーを使用した連結式クローラー&スプロケットセットの登場により
タミヤ 楽しい工作シリーズ 連結式クローラー&スプロケットセット | タミヤ (tamiya.com)
重量に気を使えば坂道を登れるロボットの製作が可能になりました。
そこで履帯型ロボットを製作することにしました。
履帯型のレスキューラインロボット
履帯型や6輪などの多輪型のロボットは中央の車輪がバンプに乗り上がった時に、下図の様にセンサと床の距離が離れてしまいます。
ラインセンサは床から遠くなると、白色の床でも黒色に判定される程、値が低くなり、正確なラインの読み取りが不能になります。
この状態の解決策がサスペンション機構です。
履帯が実用化された頃のサスペンションは2個の転輪をシーソーの様にした構造で、シンプルで工作には向いています。
履帯の全長と転輪の数によってシーソの長さが決まりますが、直径10mmのバンプをクリアする事を目標に設計しました。
この様に10mmバンプ通過時にラインセンサの持ち上がりを軽減できます。
横幅の長い減速バンプでは、シーソーが機能しない為にラインセンサの持ち上がりが発生します。
この辺りは、”ジャパンオープン2022けいはんな”のアリーナで検証しましたので動画を御覧下さい。
実際のアリーナ
アリーナ使用許可を頂いて最後のチームが得点走行を終了し、片付けになったタイミングでの走行です(関係者のみなさん、御協力ありがとうございました)。
貴重なチャンスですので、サスペンションの効果確認の他に”ラインセンサ2個のみ”のロボットで、どの程度ライントレース性能が出せるのかを検証しています。
比例制御は直角の連続など見た目に難しそうなタイルではミスしませんが、45度のカーブ直後の直角は最も難しいタイルと言えます。
意外かもしれませんが、45度のカーブなどの緩いカーブでは差分値が小さい為に制御値も小さくなって姿勢の変化が緩くなってしまいます。
ラインとの平行状態に戻る前に直角カーブに到達すると、ロボットからは直角カーブが鋭角に見えて対応不能に陥ります。
このアリーナで最もライントレースが難しい所が赤丸手前になります。
ロボカップジュニア レスキューライン PID制御のしくみとプログラム検証方法 - 隠居エンジニアのものづくり (hatenablog.com)
奥の赤丸はライン-壁間の距離がレギュレーション最小の100mmになっています。
ロボットのサイズが大きいとタッチセンサが壁に当たって障害物回避プログラムになってしまう等のトラブルが発生する可能性があります。
ロボカップジュニア レスキューライン・メイズロボットの大きさ - 隠居エンジニアのものづくり
奥のオレンジ色の丸が円柱バンプ、手前のオレンジ色の丸が角柱バンプです。
円柱バンプはサスペンションが動作して問題なく走行しました。
角柱バンプはシーソーサスペンション自体が乗り上がってしまってサスペンションとしての機能を失います。
これによりラインセンサが持ち上がって、制御不能になりました。