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ロボカップジュニア レスキューラインのオムニホイール

はじめに

ロボカップアジアパシフィック2021あいち”で色々質問を頂いて、”ブログで解説します”と約束した事を順序解説して行きます。

オムニホイールを応用したレスキューラインロボットは2009年シーズンが最初だと記憶しています。

当時は”サッカーのオムニホイールってレスキューにもつかえるんだ!”と驚く方も多かったのですが、”サッカーロボットの工夫がレスキューに応用できないか?” と言う視点は、今のルールにも通用します。

是非ほかのチャレンジのロボットにも興味を持って下さい。

 

オムニホイール

最初にオムニホイールを採用した方は明確な目的があったと思いますが、一旦メジャーになると ”とりあえず付けて見た” と言うのも起こりがちです。

もちろん、模倣から入るのも良いのですが、オムニホイールを使う効果やデメリットについてイメージする事が大切です。

基本となるライントレースの動作を入門キット(後輪駆動・前輪ボールキャスター)を例に説明します。

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ライントレースロボットの簡単な図

先ず上図の右の様に簡略化したロボットを用いて説明します。

旋回時の中心を回転中心としてオレンジ色の丸で示しています。

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センサ取付位置による角度感度の違い

上図の通り回転中心とセンサ取付位置はライントレースの角度感度に大きな影響を与えます。

オムニホイールはロボットの回転中心を変える効果があります。

オムニホイールを前輪に付けた場合、4輪ゴムタイヤ、オムニホイールを後輪に付けた場合をソニーのモーションショットと言うアプリで撮影して比較します。

20秒間、右側タイヤのみ30%前進駆動し、左側タイヤは電磁ブレーキをかけます。

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オムニホイールによる回転中心移動

この様に回転中心をオムニホイールの搭載によって移動させる事ができます。

ラインセンサが前方に搭載されている場合は、前輪オムニが角度感度が高く、後輪オムニでは低くなります。

何れの場合もオムニホイールを使わない場合に比較して旋回速度が向上しています。

4輪ともゴムタイヤの場合は旋回時にタイヤ自体がしっかり路面を捉えて横滑りに抵抗するので、モータに負荷が掛かり遅くなります。

オムニホイールには横滑りする機能があるのでモータ負荷が軽くなり、旋回速度が上がります。

ただし、オムニホイールはゴムタイヤに比べてグリップが低いのでバンプなどの障害物突破能力は弱くなります。

 

出典:

ON/OFF制御でライントレースをする ~ハード編~【初心者向け】