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ロボカップジュニアサッカーのLED表示について2

はじめに

遮光について解説したのは、競技中にセンサを封印されて機能低下に陥るロボットを見たくないからです。

LEDの影響についても検証しましたので、参考にして頂いて自分のロボットのセンサが封印される可能性があるかの目安にして、事前に対策して頂ければ幸いです。

ロボカップジュニアサッカーのLED表示について - 隠居エンジニアのものづくり (hatenablog.com)

”相手のチームのロボットに自分のロボットが影響を受けているとクレームするチームはその証拠や証明出来るものをみせなければいけません。”

このルールが出た頃は”なかなの無茶ぶり”をするなと思っていましたが、少し状況が変わっています。

Pixy2は"Pixy Mom V2"と言うアプリを提供しています。

このアプリを使えば審判に影響を受けている様子をプレゼンする事ができます。

※RCJサッカーフォラーム2019年4月4日木曜日フォームへの質問への回答(2019.1)の動画内 

【RCJJサッカーTC公式】干渉の確認方法 - YouTube

でPixy Momでの証明はできないとあります。

本稿の内容はビジョンシステムがどの程度LEDの影響を受けているかの目安として下さい。

また明確にルール違反のロボットになった事でクレームする閾値が下がったと思います。

遮光できていないチームは

〇ルールを読んでいない(競技参加する上での最低限の努力不足)

〇遮光する事よりもセンサ性能確保を優先した(自己中心的・ルール軽視)

〇ビジョンシステムの間違った理解による誤判断(勉強不足)

〇ビジョンシステムを掌握していて敢えての妨害(無いとは思いますが)

この様に遠慮する理由は見つかりませんし、ルールでクレームは保証されていますから積極的にクレームしようと思うのではないでしょうか?

ただし、クレームをする側が遮光対策不足では話になりません。

相手チームにクレームをする以上、自分のチームは完璧にしましょう!

 

影響評価の勘所

カメラは中央視野と周辺視野の性能が異なります。

周辺視野の方が性能が低いので周辺視野部分での影響評価が必要です。

”わざわざ弱いところで評価しなくても”と思う方も居るでしょうけど、Pixy2の水平視野角60°は実用限界ギリギリのスペックです。

センター0°とすれば±30°、もし周辺視野に影響を受けて10°の視野を失った場合±20°になります。

この位になると旋回中にボールを見つけても制動で止まった時には反対側の視野外にボールが行ってしまいます。

つまり中心視野部で影響を受けていなくても、周辺視野が影響を受けていれば使えないのと等価な訳です。

 

自分のロボットが影響を受けている事の証明

ある程度の距離から左右どちらかの端にゴールを捉える位置にセッティングして、相手ロボットの光が漏れている所を近づけます。

相手ゴールしか向かない制御があっても、相手ロボットに押し負けて向きが変わる事は普通に起こる事象ですのでロボットの向きや位置は自由と考えて良いでしょう。

近づいてゴール検知の頻度が優位に低くなったり、検知できなくなったら影響があると証明できます。一目瞭然ですね。

”どの程度で影響を受けるのか?”ですが、目視でゴールを照らしていると分かる位でNGだと思ってください。

Pixy Mom V2の画面と真上にセッティングしたカメラの画面を同時キャプチャして検証しました。

実際には相手ロボットを近づける操作をするのですが、動画ではセンサLEDのON-OFFの繰り返しにしてあります。(Pixy Mom V2の画面はミラーによって左右反転しています)

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緑色LED

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白色LED

何故か白色LEDはカメラに影響が無いと言う認識が広がっている様ですが、間違いです。

①カメラのダイナミックレンジは狭い

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この図は人間の目とカメラのダイナミックレンジの大小関係をイメージしていますが、実際の差は桁違いです。

このためカメラは画角内(カメラが見ている範囲)の画像に対して”白つぶれ”・”黒つぶれ”を起こした間のレンジに多くの情報が見えるように露出の自動調整を行います。

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この絵は24bitカラー(RGB各色255諧調)にて、オレンジ色を作ってRGBの比率を変えずに倍率を変えた色見本です。

試合会場の照明の中でオレンジボールを覚えさせたカメラが、照明の反射光よりも明るい白色LEDで照らされて白くなっている床を見たと仮定します。

カメラはこの白つぶれした床を改善するため露出を絞る自動調整を行います。

0.7倍に露出を絞った場合はオレンジ色は茶色に見えますのでボールを見失います。

試合会場の照明の反射光に比べてLEDの光は非常に明るいので、LEDがカメラから見える状態は確実に妨害します。

カメラの露出調整点を変えてる事が問題ですのでLEDの色には関係なく妨害することになります。

色温度

聞きなれない言葉だと思いますが、人の目はとても優秀で”色温度”を意識することはありませんが、カメラにとっては重要な調整項目です。

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f:id:Blackbox_crusher:20210412230449p:plain光源自体に色があると思っていただければイメージしやすいでしょうか。

電球(LED照明世代は既に見たことない?)は赤身がかった白色光ですし、蛍光灯は青みがかった白色光です。
カメラはこの光源色の傾向を色温度として取り扱い、色の分解能が良くなるように調整します。
試合会場の照明でホワイドバランス調整したカメラにLEDの光が混ざると上図の様にホワイトバランス調整不良(調整初期設定値との乖離)に陥ります。

カメラのホワイトバランス追従アルゴリズムによっては白色LEDの方がホワイトバランスの自動調整量が大きい場合も考えられます。

 

出典:PHOTOGRAFAM.COM