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ロボカップジュニアにおける指導について (その2 ロボット講習会)

ロボット講習会(無料)の指導をしていた時の失敗談

子供たちの自由な発想を抑制したくないとの思いから、理論上失敗する事が分かっているアイデアであっても

”やってごらん”と言って見守るスタイルで指導していました。

レスキュー講習会(初心者向け全4回)を終えて、講習会で組み立てたロボットを自由に作り変える段階になりました。

講習用ロボットは2センサにてライントレースができる仕様ですが、センサなどは最適位置に配置しておらず、取付位置を工夫する余地を残すなど敢えてベストな仕上がりから外した設計になっています。

早速センサ位置をロボットの中心に移動させている受講者がいました。

信地旋回や超信地旋回の回転中心付近にラインセンサを付けると移動量に対するセンサのズレ量が小さくなって制御困難となります。

失敗を見届けてから”なぜ制御が不安定になるのか”について解説するつもりで、次週講習会に行くと当該受講者は欠席でした。

以後、私が行けなかった日に来ていたり、すれ違っているうちに、とうとう来なくなりました。

1年程過ぎたある日、高専祭に遊びに行った時にバッタリ彼と再会しました。

”どうしているの?”と聞くとプログラムを使わないリモコンで操縦するロボット競技に参加していて、今日高専で大会があるとの事。

ライントレースのプログラムがどうしてもできなくて、向いていないと思ったとか、かける言葉がありませんでした。(ロボット大会を見学して楽しそうだったのが幸いでした)

一概には言えませんが無料のロボット講習会の傾向として

〇無料なので参加させたが、センサなどの追加費用が必要なのは困る(保護者)

〇参加人数に制限があるので予約枠に溢れると参加でず不定期参加になる(参加者)

〇ボランティアで指導しているので参加者の連絡先を知らない(私)

これを踏まえると”やってごらん”式は成立しない指導方法だと思いました。

ハードとソフトのどちらが悪いのかを切り分けする事が難しい初心者を継続的にフォローできない状況では、少なくともハード側は技術的説明の伴ったサポートが必須と考えます。

前出のライントレースとセンサ取付位置の問題は講習会会場にロボットの形をした透明アクリル板を置いて頂いて、センサ位置によって旋回中のセンサ移動量が違うことがビジュアルに説明できる様にしています。

ここで重要なのが”技術的説明の伴ったサポート”です。

”それやったら失敗するよ”は絶対にやってはいけません、必ずそれをする事で発生する問題を図示、センサの仕組みの説明、簡単な模擬実験などを行った上でデメリットになることを理解してもらう過程が必要です。

技術的知識(特にセンサの仕組み)不足による”できるかも”は技術的説明を行った上で潰しても良いと思います。

子供たちは思っている以上に逞しくて”できるかも”のできない理由を知った上で更に、得た知識からの”できるかも”を見つけます。

経験上、これで萎えてしまった子供はいませんし、仕組みを知ることで正確度が上がったり、問題が起こる使用を避けれる様になった経験は”センサの中身”への興味に貪欲になります。

もちろん部活など継続的にフォローできる環境では、失敗の経験も貴重だと思います。

指導の範囲や、手を差し伸べる距離感は大変重要で、センサの仕組みや制御のセオリーなど技術的な基礎知識の範疇に留めて、”アイデア”や”戦術”などには一切干渉しない事にしています。

 

あくまで私の指導方針の紹介です。一般論を説くものではありません。