隠居エンジニアのものづくり

自転車 電子工作 ラジコン ロボカップジュニア CAD レーザー加工機

ロボカップジュニアにおける指導について (番外編 想像と確信?)

web上でのやり取りでは、お互いにニュアンスが伝わらずに長々とQ&Aが続く事があります。

数か月間、殆どの時間をそのやり取りに費やした経験(子供たちの安全に関わる案件でなければサッサと諦めてましたが・・・)があり、その時間があれば技術に関する記事を書いて公開した方が良いとの思いと、記事の間違いは友人のエンジニア達が速攻で知らせてくれるのを頼りにする事としてブログ開設はコメントを受け付けない設定にしました。

他の方のブログの内容についても事実確認ができない限りコメントしないようにしています。

これは、自分の技術レベルで見立てた”想像”を、事実と相違なしと”確信”するのは危険だと思うからです。

ご本人の”確信”が事実と異なっていた実例を2つ示します。

10年ひと昔と言いますから、コメントした人も忘れているだろう昔話をチョイスしました。

いずれのチームも私が指導に関わっていて事実確認ができている案件です。

 

①熱収縮チューブ

子供の大会に1万円弱もするヒートガンを要する熱収縮チューブを使用するのは如何なものか的なコメントがありました。

レゴ全盛で自作するチームは殆どなかった時代のことなので、NCフライスや3Dプリンタ当たり前の今のロボカッパーには違和感があるかもしれません。

実際にはカールドライヤーのブラシ部分を外して使用していましたので工具への追加費用は0円でした。

カールドライヤーはブラシ部分を介して温風を出すので、この経路での温度低下分ヒーター温度が高く設計されています。

ブラシを外した本体出口付近では熱収縮チューブを縮めることができます。

f:id:Blackbox_crusher:20210609233611g:plain

出前授業などでプレゼンする定番ネタのひとつです。

ちなみに動画はパナソニック製カールドライヤーEH-KA18の”SET”モードで作業しています(gif編集に失敗したのか何故かスローですが我慢してくださいね)。御存じの通り普通のドライヤーでは全く縮まりません。

このチームは3DCAD設計・NCフライス使用、自作マイコンボードと、当時では異例尽くしだったので”絶縁にヒートガン(熱収縮チューブ)まで使ってるのかよ”となったのかな?と想像しています。

 

②TJ3のポート拡張(大幅な改造)

”本気で勝ちたいと思うなら大幅な改造はやはり必須ではないかと思います”との趣旨でTJ3用C-StyleのD_Tj3.h、D_Tj3.CのI/O制御レジスタを改造して6ポート追加する記事をUpされた方がおられました。
”大改造して大会に出ているチームがあるので対抗しました”的な流れなのですが、この記事の終わりに、名指しではありませんが大幅改造していたのが、どのチームのロボットか分かりやすく記述してありました。

このロボットのセンサ数がTJ3ノーマルのポート数を超えていたので”大幅な改造”と思い込んだと想像しますが、残念ながら全くのノーマルTJ3です。

実際には1ポートに複数センサを繋げる工夫がしてありました。

それも追加基板とか不要なとても簡単な方法です。

前回記事の通り、センサの仕組みについては”理解できないだろう”と言う指導側の思い込みを捨て、対象者の年齢に関わらず詳細な解説をしています。
この中でプログラムの工夫や状況によって、一つのポートに複数センサを付けることができる場合についても説明しています。
これはハードとソフトを目的に合わせて上手に組み合わせる工夫を身に着けることに繋がるからです。

 

1ポートに複数センサを繋げることができる場合と方法については次回記事にて解説します。