半導体の寄生容量
半導体の寄生容量の説明の前に、コンデンサの構造を説明をします。
誘電体を金属板(電極)でサンドイッチした構造がコンデンサです。
容量は金属板の面積に比例し、金属板の距離に反比例します。
これと同じ構造をした半導体がダイオードです。
ダイオードの場合はPch半導体とNch半導体を金属板(電極)でサンドイッチした構造です。
半導体は誘電体として機能するのでコンデンサの機能を併せ持つことになります。
この構造によって出来上がたコンデンサの容量を寄生容量と言います。
ダイオードが逆方向に電流を流さないのは下図の様に空乏層ができて電荷の受け渡しができなくなるからです。
下図の赤色Pch、青色Nchの領域はそれぞれ電荷の移動が可能なので電極と同じと考えられます。
逆方向の電圧(逆バイアス)が高くなると空乏層が広がります。
これはコンデンサの金属板面積は変わらず金属板間距離が変わる事を意味します。
つまりダイオードは逆バイアスによって寄生容量が変わります。
容量は逆バイアス電圧が高くなると小さくなります(金属板距離に反比例)。
半導体は構造によって容量を持ち、印加電圧によって容量が変化する性質があります。
MOS-FETの構造
細かい所はなるべく省いてMOS-FETの構造を示します。
MOS-FETの寄生ダイオードも構造によって出来上がるものです。
この様なD-S間の絶縁状態をゲート電圧によってPchの反転層を作る事で、電流が流せるようになります。
ゲートドライブ側から見た寄生容量はGS間とGD間に発生します。
GS間の充電に伴ってPchの一部が徐々に反転層(Nch動作)に変わりますので容量の変化を伴います。
この容量はドレイン電圧による影響を受けます。
ゲートドライブ
MOS-FETの寄生容量を充電するのには時間が掛かります。
ゲートドライブの電荷供給能力(Q)と寄生容量(C)によって電圧(V)が決まります。
VthからOFF状態がONに変わっていきます。
ドレイン電圧が0Vに達した時が完全なON状態です。
ゲートドライブが電荷を供給しているのに電圧が一定になっている期間があります。
これは、寄生容量が徐々に大きくなっている為です。
MOS-FETの主な損失(発熱の原因)はドレイン電圧の傾き部分で発生します。
この傾き期間を短くすれば損失を減らす事ができます。
実測するこんな感じになります。
ちなみに電荷、容量、電圧の関係式を私はこれで覚えました。
給料は渋い
Q = C・V