熱が”こもる”部品
レーザー加工機での切断はレーザー波長に吸収のある材料が蒸発する程の温度になる事が条件です。
この条件においてアクリル板はレーザー加工機との相性が良いので綺麗に仕上がります。
以前、beamoにてポリアセタールが切断できる事を記事にしましたが、アクリルと比較するとCO2レーザー波長の吸収が少し悪いので加工パス周辺の温度上昇が大きくなります。
短い時間かつ距離が近い加工パスが集中する場合に切断面の周囲温度が上昇して材料が溶ける場合があります。
この典型例がM2のスペーサーです。
M2スペーサー
外形5mm、内径2mmのモデルを切断する際、直径5mmの外側に熱の逃げる道が有りません。
この小さなエリアの更に内側に直径2mmの加工パスが走ります。
こう考えると溶けてしまって上手く加工できないのは理解できます。
この加工パスでも樹脂が溶ける温度に至らない様に、制御できれば上手く加工できる訳です。
加工パラメータ設定のチューニング&手順の工夫
温度上昇を抑えるにはレーザーヘッドの移動速度を上げる必要があります。
材料の温度が一旦上がると、その温度に更に温度上昇分が積み重なるので、充分な時間を置いて材料が元の温度に戻るのを待つ必要があります。
例題として、厚み3mmのポリアセタール板にM2スペーサーを作ります。
先ずパラメータを設定します。
このパラメータで切断を行います。
次にキッチンタイマー(皆さんはスマホですよね)を10分設定にして材料が冷えるのを待ちます。
時間が来たら同じパラメータで切断を行います。
これを3~4回繰り返すと綺麗に作れます。
何回目で加工終了とするかは、下図の様に所々抜け落ちている状態が確認できればOKです。
余談ですが、このサイズになると、出来上がった部品が下に落ちるので予めトレーをどけてハンディ掃除機などで掃除をしてから加工作業を行うことをお勧めします。
M2スペーサーを大量に作ると、真ん中の芯を取り除くのが意外と面倒なので、密閉容器に入れて全力でシャカシャカするのがマイブームです。
若干バリが残っている物(写真はかなり拡大しているので気になりますが直径が5mmですので0.1mm程度のバリです)もありますが、M2スペーサーとしては充分実用に耐えます。