はじめに
PCBCADや3DCADなど、色々なツールが無料で使える様になって、個人の”ものづくり”も高度になってきました。
RCJ界隈でもOP-AMPを用いた回路設計にチャレンジする方が散見される様になってきましたので、回路シミュレータの紹介をしたいと思います。
実は回路シミュレータも無料で使えるものがあります。
いくつかあるのですが、今回は回路図エディタが使える方には比較的直観的に使える”TINA-TI_JAPANESE”についてのお話です。
ダウンロード
”myTI アカウント”登録が必要です。
登録後に下記URLより”TINA-TI_JAPANESE”をダウンロードして下さい。
TINA-TI シミュレーション・ツール | TIJ.co.jp
指示に従ってインストールを行ってください。
詳細な手順については記事にしません。
操作
チュートリアルが日本語化されましたので、そちらを御覧ください。
詳細な手順については記事にしません。
回路図エディタが使える方は、すぐに使えて、あまり違和感のない、お手軽操作だと思います。
回路シミュレーション
これはローサイド電流検出回路としてモータドライバなどのアプリケーションマニュアルでよく見かける回路です。
無料ツールの制限として登録されている標準ライブラリデバイスはTI製品です。
この回路のOP-AMPは新日本無線NJU77551Fでしたので、最初の作業はTI製品登録デバイスから同等性能の物を探す事になります。
3.3V動作 レールtoレール GB積2.8MHzのTLV247xを選定しました。
先ず、回路図エディタと同じ要領で違和感なく描ける範囲で回路図を作ります。
"スパイスマクロ"のタブをクリックすると、シンボルが並びますので”オペアンプ”を選択します。
下図の様に一覧がでますので、型式選択を行います。
回路図エディタにないシンボルとして回路シミュレータの為の”計器”、”ソース”があります。
計器はマルチメータやオシロスコープを繋ぐ為の端子と考えてOKです。
ソースはバッテリーなどの電源と考えてOKです。
”T&M”のタブ→"マルチメータ(W)"を押すと下図の様にマルチメータが表示されます。
負荷抵抗RL=1Ωの時、マルチメータの”入力”選択が"VF1"(シャント抵抗10mΩの電圧降下)49.5mVを示します。
次に入力を"VOUT"に切り替えます。
下図の様に1.62Vを示し、49.5mV × 33倍 = 1.6335V(理論値)に近い値を示してます。
回路図シミュレータの良いところで抵抗に誤差がありませんので理論値1.6335Vとの差異はOP-AMPの制約によるものと判断できます。
次に負荷抵抗RLを電流源に置き換えます。
"ソース"のタブをクリックすると、シンボルが並びますので”電流ジェネレータ”を選択します。
これでRSに流す電流を”電流ジェネレータ”で設定できます。
”電流ジェネレータ”をダブルクリックするとプロパティBOXが開きますので”DCレベル(A)に”3"を入力してシャント抵抗に3Aが流れている設定にします。
下図の様に、今度は10mΩに3Aで”30mV”と確認し易い値になりました。
”電流ジェネレータ”にすると、更においしい機能(ちょっとシミュレータらしい?)が使えます。
”解析(W)” → ”DC解析” → ”DC伝達特性”をクリックします。
”DC伝達特性プロパティ”の”入力”を電流ジェネレータ”IG1”を選択して、”開始値”と”終了値”を入力します。
ここでは、0A~12Aとしました。
”OK”をクリックすると下図の様な特性グラフが作成されます。
茶色がVF1(シャント抵抗の電圧降下)、緑色がVOUT(OP-AMPの出力)です。
レールtoレールOP-AMPと言ってもGND、電源電圧付近は中間部分と比較すると性能が劣りますので曲がりが生じます。
若干のオフセットとGND、電源電圧付近の曲がりが、仕様として問題がなければ0~10Aの範囲の電流を検出できると判断できます。
回路図の保存にも制限がありませんので一旦お気に入りのOP-AMPと同等性能の部品で雛型の回路を作っておけば、一部修正で色々な回路の検証がスピーディーにできます。