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BLDCの使い方

部品の性能を引き出すには、仕組み・構造・材料を知ることが早道です。

この辺の理解があれば、部品選定の段階で目的に合っているのか?、欠点を承知で採用する場合は使い方の工夫を予め用意する事ができます。

BLDCの一般的な仕組みや利点・欠点についてはモータメーカーの技術資料が幾つかあるので、検索して見て下さい。

ここでは、ロボカップジュニアで搭載可能なサイズのBLDC特有の問題について解説します。

モータにはセンサ付きとセンサ無しがありますが、足回りに使えるサイズを想定するとセンサ無しになると思います。

モータメーカーでBLDCの仕組みは理解頂いている前提で説明しますが、モータの逆起電力によってローター位置を検出するセンサ無しモータの場合は低速回転の安定性がありません。

これは回転数が低いと逆起電力も小さいのでローターの位置検出の精度が得られない為です。

部品の入手性を考慮すると、1/16スケール以下の電動ラジコンカーのBLDCオプションパーツや小型のドローン用BLDCの流用になると思いますが、これらのESCは概ね停止-40% - 100%の制御になっており、ブラシ付きのDCモータの様に10%付近の低速回転の制御は望めません。

ライントレースや迷路探索で比例制御を行う場合は、低速域の回転制御が空白になる事でゲイン調整は苦戦を強いられます。

サッカーチャレンジのオムニホイール全方位走行システムでは下図のように

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各モータの低速回転域を含むパワー制御の直線性が必要ですので、美しく円弧を描く回り込みはできません。

”だから使うな!”というわけではありません。

ブラシ付きモータをブラシレスに換装したロボットで”今まで出来てた事が同じように出来るはずだ”と言う思い込みでの時間のロスを無くしてほしいと思っています。

私の記憶が正しければ、2015年大会のサッカーチャレンジには足回りがサスペンション付きBLDCの4軸オムニロボットがありました。

そのロボットは、他のオムニロボットとは異なった独特の動きをしていました。

動きを観察すると”なるほど低速回転をさせない前提なら合理的!”と感心した覚えがあります。

欠点を克服する工夫を準備する

低速回転域の制御ができない前提でどうするか?

前出の表を見ていただければ40%以下のパワーが必要な角度は限られています。

簡単な方法としては、この角度領域を制限すれば、美しい円弧は描けませんが、”多角形”の回り込みなら不具合なく制御できます。

ひねりの利いた欠点克服方法については、皆さんで編み出してください。